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急性膵炎における臨床検査のポイント

急性膵炎の診断における血中アミラーゼ値の感度は、カットオフ値や急性膵炎自体の診断方法の違いによって幅があり、67〜100%とされています。

急性膵炎における臨床検査のポイント

1)アミラーゼ
急性膵炎の診断における血中アミラーゼ値の感度は、カットオフ値や急性膵炎自体の診断方法の違いによって幅があり、67〜100%とされています。アミラーゼ値が正常の急性膵炎が19〜32%にみられるという報告もあるので、アミラーゼ値が上昇しない症例も含まれることを念頭に置いておく必要があります。その理由として、膵外分泌機能低下を伴う慢性膵炎の急性憎悪による急性膵炎の場合や、他の膵酵素(リパーゼなど)に比べて異常高値持続期間が短いことが挙げられます。また、アルコール性膵炎や高脂血症性膵炎の症例では、膵酵素上昇を認めにくいという報告もあります。
急性膵炎以外にも、唾液腺疾患、消化管穿孔、卵巣腫瘍、腎不全などのアミラーゼの上昇をきたす疾患は多いことから、アミラーゼ単独での診断の特異度には限界があちます。アミラーゼ・アイソザイム(P型アミラーゼ)は、他の高アミラーゼ血症を呈する疾患との鑑別に有用ですが、アミラーゼ単独と比較して感度特異性が高いという報告はみられません。

2)リパーゼ
血中リパーゼは、急性膵炎の診断において感度86.5〜100%、特異度84.7〜100%と高く、アミラーゼと比較しても高い感度を示します。また、異常高値がアミラーゼよりも持続することから診断的価値は高く、ガイドラインではアミラーゼよりもリパーゼを測定することが強く推奨されています。

3)その他の膵酵素
エラスターゼ1は急性膵炎の診断において、アミラーゼ、リパーゼと同等であると報告されています。エラスターゼ1は異常高値持続期間が長いことから、発症から時間を経て受診した症例には有用であると考えられています。
トリプシンは膵炎発症機序における主要な膵酵素ですが、血中においてはプロテアーゼインヒビターによって急速不活化されるため、酵素活性を測定することは困難であり、免疫学的方法によって抗原量を測定します。急性膵炎診断における感度は97〜100%と高くなっています。

4)尿中トリプシノーゲン2
トリプシンの前駆物質であるトリプシノーゲン2は、急性膵炎の発症早期から尿中に排泄されます。尿中トリプシノーゲン2の定性試験が可能なスティックが開発されており、急性膵炎の迅速かつ簡便な方法として報告されています。感度・特異度は血中膵酵素とおおむね同等ですが、市販されておらず実用化されていません。

5)c反応性蛋白質(CRP)
CRPは急性膵炎のの重症化の良好な指標です。単一マーカーとしての意義は高く、わが国の重症度判定基準でmp予後因子の1つとされています。ただし、CRPは発症早期(48時間)には上昇が緩徐であることが知られており、重症度を反映しないこともあるため注意が必要です。

6)プロカルシトニン(PCT)
PCTはCRPよりも急性膵炎の重症度を反映すると報告されています。重症急性膵炎の診断に関するPCTの感度は72%、特異度86%、感染性膵壊死の診断に関しては、感度80%、特異度91%との報告があり、重症化予測の有用性が期待されています。

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