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急性膵炎は主としてアルコール摂取過多、胆石の嵌頓(かんとん:元に戻らなくなった状態)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscpic retrograde cholangiopancreatograpty:ERCP)などによって膵内で膵消化酵素が活性化されることで引き起こされる膵臓の急性炎症です。急激な腹痛発作と圧痛を特徴とする急性腹症のひとつであり、わが国での発生頻度は人口10万人あたり49.4人で、近年緩やかに増加傾向です。男性の発症頻度は女性の2倍と報告されています。
膵は内分泌機能と外分泌機能をもち、内分泌は、ランゲルハンス島細胞で産生されるインスリンなどのホルモンによる働きであり、外分泌は膵液による消化吸収に関与しています。膵液は膵腺房細胞で産生され、膵管(導管9に分泌されて十二指腸に排出されます。膵液には、消化に必要な糖質分解酵素(アミラーゼ)、蛋白質分解酵素(トリプシン・キモトリプシン)や脂質分解酵素(リパーゼ)が含まれています。腺房細胞で産生される蛋白分解酵素は非活性型(トリプシノーゲン・キモトリプシノーゲン)であり、十二指腸に排出された後に腸管内のエンテロキナーゼによって活性型に変換されます。
急性膵炎の発生機序は、Oddi括約筋の攣縮や蛋白栓による膵管閉塞によって膵液の流出障害が生じた結果、膵内で蛋白分解酵素が活性化(自己消化)することによって引き起こされると考えられています。急性膵炎は、軽症であれば膵・膵周囲のみに限局した炎症にとどまり、一般的に数日間の絶食と補液によって可逆的ですが、重症化すると高サイトカイン血症による全身炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)や臓器不全へと進行し、死に至る可能性がある疾患です。特に虚血による膵および膵周囲組織の壊死を伴う壊死性膵炎は重症度が高く、壊死組織への感染を合併すると容易に敗血症をきたし死亡率が高くなります。1987年の報告では、重症急性腹症の死亡率は30%と報告されており、その死亡率の高さから重症急性膵炎は国の難病指定を受けていました(2015年以降は指定除外)。2011年の全国調査によると、急性膵炎の死亡率は全体で2.1%、重症例では10.1%と低下傾向にありますが、重症急性膵炎の死亡率は依然として高いといえます。
急性膵炎による死因は、発症早期(2週間以内9にはショックと多臓器不全が多く、晩期死亡(2週間以降)では多臓器不全、敗血症が多くなります。臓器不全および膵壊死が急性膵炎の予後を最も規定する因子とされています。
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