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急性膵炎の診断基準と重症度判定

急性膵炎は、膵内で膵消化酵素が活性化されることで引き起こされる膵臓の急性炎症です。急性膵炎の大部分は軽症ですが、臓器不全や感染壊死を伴う重症急性膵炎の予後は不良であり、診断とともに重症度判定を行うことが重要となります。

急性膵炎の診断基準と重症度判定

急性膵炎は、膵内で膵消化酵素が活性化されることで引き起こされる膵臓の急性炎症です。急性膵炎の大部分は軽症ですが、臓器不全や感染壊死を伴う重症急性膵炎は死亡率が約10%と予後不良であり、診断とともに重症度判定を行うことが重要となります。
急性膵炎の診断基準
1)上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある
2)血中または尿中に膵酵素の上昇がある(膵酵素は膵特異性の高い、膵アミラーゼ・リパーゼなどの測定が望ましい)
3)超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎を疑う異常所見がある
上記3項目中2項目以上を満たし、他の4膵疾患や急性腹痛を除外したものを急性膵炎と診断する。ただし、慢性膵炎の急性憎悪は急性膵炎に含める。

急性膵炎重症度判定
わが国では厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班による重症度判定基準が一般的に用いられています。この重症度判定基準は「予後因子スコア」と「造影CTグレード」から構成されています。

予後因子(予後因子は核1点とする)
1)base excess -3mEq/L以下、またはショック(収縮期血圧80mm/Hg以下)
2)PaO2 60mmHg(room air)以下、または呼吸不全(人工呼吸管理が必要)
3)BUN 40mg/dL以上(or Cr 2mg/dL以上)、または乏尿(補液後も1日尿量が400mL以下)
4)LDH 基準値上限の2倍
5)血小板数 10万/mm3以下
6)総Ca 7.5mg/dL以下
7)CRP 15mg/dL以上
8)SIRS診断基準における陽性項目数3以上(※)
9)年齢 70歳以上
・重症判定:予後因子が3点以上、または造影CT Grade2以上の場合は重症

重症急性膵炎で血中Ca濃度が低下する機序として、活性化した膵酵素によって脂肪組織が融解されると、遊離脂肪酸が血中Caと結合して組織に沈着するため、血中Ca濃度低下が急性膵炎の重症度と相関することが知られています。

(※)SIRS(systemic inflammatory response syndrome)診断項目
1)体温38℃以上、または36℃以下
2)頻脈 90回/分以上
3)呼吸数 20回/分以上、またはPaCO2<32torr
4)白血球数 12,000/mm3以上か4,000/mm3以下、または10%幼若球出現

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