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1)閉塞性黄疸、胆汁うっ滞
自己免疫性膵炎では膵頭部腫大による下部胆管狭窄・閉塞をきたし、閉塞性黄疸で初発することが多いため、ビリルビン、胆道系酵素、アルカリフォスファターゼ、γ-GTP、の上昇を70〜80%に認めます。AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇を70%程度に認め、胆汁うっ滞による肝障害に起因する、AST、ALTの上昇については自己免疫性肝炎類似の肝実質障害の関与も想定されます。
糖鎖抗原19-9(CA19-9)の軽度上昇を50%に認めますが、胆汁うっ滞に起因すると考えられ、通常は治療経過で低下します。しかし、膵癌合併症例も報告されているので、上昇傾向が続く場合には鑑別が必要です。
2)膵炎
膵酵素の軽度上昇を40〜60%に認めますが、通常は膵炎発作は認めません。
3)糖尿病
ヘモグロビンA1cの低下を50%程度に認め、ステロイド治療後に改善する例も存在しますが、器質的変化をきたした非可逆性の病態も存在しており、ステロイド治療後に憎悪することもあります。
4)膵外分泌不全
BT-PABA(N-benzoyl-L-tyrosyl-p-aminobenzoic acid)試験で70%程度に低下例を認めますが、多くはステロイド治療によって軽快します。しかし、膵石灰化、慢性膵炎の病態に移行した場合には低下します。このような状況では便中エラスターゼ1の低下を認め、外分泌機能評価に有用です。
5)免疫マーカー
・IgG4
・IgE:40%程度に上昇を認めます。好酸球上昇も認められアレルギー機序の関与が考えられます。
・抗核抗体(ANA)、リウマチ因子(RF):疾患非特異的な自己抗体である抗核抗体、リウマチ因子の陽性率はそれぞれ30〜60%、30〜40%で、免疫系の活性化状態を反映していると考えられます。
・補体:C3、C4の低下を30〜40%に認め、古典経路(※)による補体活性化の関与が推察されます。
・免疫複合体、可溶性IL-2受容体、β2ミクログロブリンなどのリンパ球活性化マーカーの上昇を認めます。
※古典経路
C1の活性化に始まる経路のこと。体液性免疫の抗体抗原複合体に補体C1が結合することでC1が活性化する。以降も基本的に数字順に活性化するが、C4は例外的に2番目に来る。「C1→C4→C2→C3b→C5b」まで活性化され、あとはC5bにC6〜が次々と結合、最終的にC5b6789にまでなる。
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