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SIADHの治療

SIADHによる低ナトリウム血症の治療は水制限が基本となります。原疾患の治療に加えて1日の総水分摂取量を体重1kgあたり15〜20mLに制限します

SIADHの治療

SIADHによる低ナトリウム血症の治療は水制限が基本となります。原疾患の治療に加えて1日の総水分摂取量を体重1kgあたり15〜20mLに制限します。また著明な低ナトリウム血症や意識障害4を伴う場合は、低ナトリウム血症を速やかに改善させるために3%高張食塩水を点滴で投与します。しかし、低ナトリウム血症の治療において血清Na濃度を急速に上昇させると浸透圧性脱髄症候群(橋中心髄鞘崩壊など)を生じるリスクがあるので注意を要します。
浸透圧性脱髄症候群では意識レベルの低下、四肢麻痺、仮性球麻痺、痙攣などが生じ、急激な浸透圧変化に伴う中枢神経の脱髄が原因と考えられています。浸透圧性脱髄症候群の発症を回避するため、血清Na濃度の補正は24時間で10mEq/L以内にすることが求められます。

SIADHの治療
次のいずれか(組み合わせも含む)の治療法を選択する
1)原疾患の治療を行う
2)1日の給水分摂取量を1Kgあたり15〜20mLに制限する
3)食塩を経口的に摂取する(例:食塩9g/分3/日・成人の場合)
4)血清Na濃度が120mEq/L以下で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合は、3%食塩水を点滴で投与する。また、フロセミドの静脈内注射も適宜併用する。重篤な中枢神経症状がある場合は3%食塩水の急速投与も考慮する(例:3%食塩水100mL/10分・成人の場合)。いずれの場合も、浸透圧性脱髄症候群の出現を防止するために血清Na濃度を頻回に測定し、血清Na濃度の上昇を24時間で10mEq/L以下、48時間では18mEq/L以下とする。また血清Na濃度が120mEq/Lに達するか、低ナトリウム血症に伴う神経症状(意識障害)が改善した時点で3%食塩水投与は中止する。補正前の血清Na濃度が110mEq/Lを下回る低ナトリウム血症、あるいは低カリウム血症、低栄養、アルコール中毒、肝障害などの危険因子を伴う場合は、より緩やかに血清Na濃度を補正する。
5)血清Na濃度の上昇が、24時間で10mEq/L、48時間で18mEq/Lを超えた場合は、3%食塩水の投与を速やかに中止する。また、5%のブドウ糖液の投与などによって血清Na濃度の再度低下させることを検討する。
6)異所性バソプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはバソプレシンV2受容体拮抗薬モザバブタン塩酸塩錠(30mg)を1日1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り引き続き7日間まで継続投与することができる。
参考:欧米ではバソプレシンV2受容体拮抗薬トルバプタンがバソプレシン分泌過剰症(SIADH)の治療に用いられているが、国内では心不全、肝硬変と常染色体優性多発嚢胞腎以外の適応は未許可である

「日本内分泌学会:間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き」より

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