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抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(Syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)は、血清Na濃度が低下しているにもかかわらず、AVPの抑制が不十分なために抗利尿作用が持続している状態です。健常者では血漿浸透圧が低下するとAVP分泌が抑制され、水利尿が促進されます。SIADHでは血清Na濃度が低値でもAVP分泌が十分に抑制されず、抗利尿作用が持続します。その結果、尿への自由水排泄が低下し、低浸透圧血症と低Na血症が持続します。
SIADH診断の手引き(基準)
1.主症候
脱水の所見を認めない
2.検査所見
1)血清Na濃度は135mEq/Lを下回る
2)血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る
3)低ナトリウム血症、低浸透圧血症にもかかわらず血漿バソプレシン濃度が抑制されていない
4)尿浸透圧は100mOsm/kgを下回る
5)尿中ナトリウム濃度は20mEq/L異常である
6)腎機能正常
7)副腎皮質機能正常
3.参考所見
1)倦怠感・食欲低下・意識障害などの低ナトリウム血症の症状を呈することがある
2)原疾患の診断が確定していることが診断上の参考となる
3)血漿レニン活性は5ng/mL/h以下であることが多い
4)血清尿酸値は5mg/dL以下であることが多い
5)水分摂取を制限すると脱水が進行することなく低ナトリウム血症が改善する
4.鑑別診断
低ナトリウム血症をきたす次のものを除外する
1)細胞外液量の過剰な低ナトリウム血症:心不全・肝硬変の腹水貯留時・ネフローゼ症候群
2)ナトリウム漏出が著明な細胞外液量の減少する低ナトリウム血症:原発性副腎皮質機能低下症・塩類喪失性腎症・中枢性塩類喪失症候群・下痢・嘔吐・利尿剤の使用
3)細胞外液量のほぼ正常な低ナトリウム血症:続発性副腎皮質機能低下症(下垂体前葉機能低下症)
[診断基準]確実例:1および2の全てを満たすもの
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