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成人においては、甲状腺機能低下症は潜在性の段階にあっても、脂質代謝異常、動脈硬化、虚血性心疾患、心不全、うつ症状、認知障害のリスクとなることが明らかになっています。しかし、高齢者における潜在性甲状腺機能低下症の影響については、若年成人と比較して軽度であることが明らかになりつつあり、治療の要否についても議論されています。
メタボリック症候群と潜在性甲状腺機能低下症の関係については、コホート研究で、TSH 10mIU/Lを超える潜在性甲状腺機能低下症は、メタボリック症候群の有病率を上昇させており、潜在性甲状腺機能低下症は高齢者でもメタボリック症候群のリスク因子になることが示唆されています。
虚血性心疾患と潜在性甲状腺機能低下症との関係については、数多くの疫学的研究が行われており、潜在性甲状腺機能低下症が虚血性心疾患のリスクファクターであることが明らかになっています。特に55〜60歳以下の成人では潜在性甲状腺機能低下症と冠動脈疾患イベントとそれによる死亡率との関連が明らかですが、高齢者を対象とした大規模疫学研究およびメタ解析によると、70〜75歳以下の高齢者ではその関連性が減少し、80〜85歳以上の長高齢者では潜在性甲状腺機能低下症によるリスクは消失することが示唆されています。しかし、TSHを10mIU/L異常に限定した場合、潜在性甲状腺機能低下症と虚血性心疾患の関係は高齢者においても認められるので、TSH値の程度によってリスクは大きく左右されることが考えられます。
加齢は心臓組織の線維化、心筋細胞の減少、心肥大とリモデリングの誘導を起こし、心機能低下をきたすことが知られていますが、潜在性甲状腺機能低下症は、心血管リスク因子をもつ高齢者において心不全の進行リスク因子であり、心不全で入院している患者において死亡率上昇と関連することが示されています。
顕性甲状腺機能低下症は、、高齢者においても認知機能の悪化やうつ状態を誘発することが知られています。潜在性甲状腺機能低下症も、65歳以下の成人においては、軽度の認知機能低下と関連していることが明らかになっていますが、高齢者においては、その関連性は明らかにされていません。
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