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橋本病などにより甲状腺における甲状腺ホルモン分泌機能が低下することによって発症する原発性甲状腺機能低下症の場合、血中FT3およびFT4濃度が低下し、フィードバック機構により血中TSH濃度が上昇します。FT3およびFT4が基準値内にとどまる軽度の甲状腺機能低下症の場合でもTSHは基準値上限を上回り、TSHのほうが鋭敏に甲状腺機能の変化を検知して変化します。このTSHのみ上昇する状態を潜在性甲状腺機能低下症、また、遊離甲状腺ホルモン値の低下を合併する場合を顕性甲状腺機能低下症と定義されています。成人において甲状腺機能低下症の有病率は高く、特に潜在性甲状腺機能低下症はその頻度が一般成人の5%前後と極めて高いとことが報告されています。さらに、潜在性甲状腺機能低下症は糖尿病・喫煙・高コレステロール血症に匹敵する動脈硬化および心筋梗塞のリスクファクターであることが明らかになっています。
糖尿病・喫煙・高コレステロール血症に匹敵する動脈硬化および心筋梗塞のリスクファクターであることが明らかになっています。
高齢者における顕性甲状腺機能低下症は、時に非典型的な症状を呈し、若年者にみられるような徴候を欠くことが多くあります。高齢者では、甲状腺機能低下症は緩徐に発症することが多いうえに、加齢による疾患を合併していることが多く、老化に伴う倦怠感・寒がり・便秘・心不全症状・うつ症状などの非特異的症状が多くなるため、診断が容易ではありません。したがって、甲状腺機能低下症を老化・認知症・老人性うつ・心不全などと診療されている場合があり、そのような場合には、甲状腺腫の有無にかかわらず積極的に疑うことが必要です。
また、高齢者では合併する慢性疾患により、一般検査所見において異常値を示すことが少なくありません。コレステロール値(特にLDL)・クレアチンキナーゼ(CK)・トランスアミナーゼの高値や、貧血、心不全などの所見がみられたときも、積極的に甲状腺検査を行うべきです。
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