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甲状腺ホルモン(T3・T4)は、視床下部で合成される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin-releasing hormone:TRH)とそれにより下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone:TSH)によって調節されています。甲状腺ホルモンが低下するとTRHによって刺激されるTSHが分泌され、甲状腺が刺激されることで恒常性が維持されており、この関係は障害にわたって維持されます。実際、血中遊離サイロキシン(free thyroxine:FT4)は年齢による変化はみられませんが、TSHについては成人において年齢に比例した上昇がみられます。加齢によるTSHの上昇は、下垂体から分泌されるTSHの生物学的活性の低下による、TSHのセットポイントの変化が原因ではないかと考えられています。
一方で、加齢によってTSHのTRHに対する反応性が低下していることも報告されています。さらに、橋本病などによる原発性甲状腺機能低下症や医原性の甲状腺ホルモン低下に対するTSH上昇反応も加齢により低下することが報告されています。加齢による下垂体のTSH産生細胞での反応性の低下はTSHの夜間サージを減弱あるいは消失させています。加齢によるTSHの基礎値の上昇とTSHの反応性の低下は関連しており、高齢者でTSHの基礎値が低い群ではTSHの反応性が保たれていることが判明しています。また、TSHの反応性には性差があり、男性では遊離甲状腺ホルモンの低下に対するTSHの上昇反応が低い傾向があり、女性ではTSHの反応性は保たれ、遊離甲状腺ホルモンレベルは加齢の影響を受けにくいことが明らかになっています。
甲状腺から分泌されたT4は抹消組織において1型および2型5’脱ヨード酵素(D1およびD2)によってT3に変換され、生理活性を発揮します。一方、3型5’脱ヨード酵素(D3)の活性が優位になると、T4から活性のないリバースT3への変換が優先され、甲状腺ホルモンの抹消組織での生理活性が低下します。加齢はD1・D2の減少をきたすことが明らかになっており、それが加齢に伴う遊離T3(FT3)の減少、リバースT3の増加、FT4の維持に関与していることが報告されています。これらの変化は、non-thyroidal illnessにおける低T3症候群の病態に類似しています。
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