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高ナトリウム血症は血清Na濃度が145mEq/Lを超える状態と定義されます。病態として1)水が喪失した場合、2)水がナトリウムより多く喪失した場合、3)水よりもナトリウムがより多く体内に貯留した場合が考えられます。1)2)は体液量の減少、3)は体液量の増加した状態です。
高ナトリウム血症の症状として、頭痛、悪心、発熱、神経・筋の易刺激性亢進による筋緊張亢進および腱反射亢進、意識レベルの低下、痙攣などが挙げられます。
高ナトリウム血症を呈する内分泌疾患に中枢性尿崩症があります。正常では血漿浸透圧によるAVP分泌閾値は口渇閾値より低いのですが、中枢性尿崩症では血漿浸透圧に応じたAVP分泌が障害されているため、多尿による脱水の結果として口渇が生じます。渇感障害が認められなければ、血清Na濃度が口渇閾値まで上昇した際に飲水行動をとるため、血清Na濃度は正常〜軽度高値を示します。一方飲水行動がとれない状態(意識障害、水が手に入らない、外科手術時など)または脳の器質的変化(脳腫瘍、手術後、外傷など)による渇感障害を合併した状態では、水喪失により著しい高ナトリウム血症をきたすことがあります。
治療については、日本内分泌学会から「バソプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」が示されています。
AVPの誘導体で作用時間の長いデスモプレシンにより治療を行います。デスモプレシンは経鼻製剤(点鼻薬、スプレー)と経口製剤(口腔内崩壊錠)が使用可能です。治療開始後は習慣的飲水による水中毒を避けるため、デスモプレシンは少量(経鼻:2.5μg/回、経口:60μg/回)から開始し、尿量および血清Na濃度をみながら投与量を調節します。デスモプレシンの投与量を定めたあとも、血清Na濃度や体重を指標として水バランスに留意し、必要に応じてデスモプレシンの投与量を調整します。また、意識障害時にはデスモプレシンの代わりにAVP(ピトレシン注射液)を投与する場合もあります。続発性尿崩症では原疾患の治療を並行して進めます。下垂体機能低下症を合併した症例ではヒドロコルチゾン補充を行いますが、この際に多尿が顕在化することがあることに留意します。
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