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サーチュイン(Sirt)遺伝子は、その過剰発現によって酵母・線虫・ショウジョウバエの寿命を延長することが報告されて以来、長寿遺伝子とみなされてきました。Sirt遺伝子は進化的に保存されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamido adenine dinucleotide:NA)依存性脱アセチル化酵素であり、哺乳類では7種類(SIRT1〜7)が同定されています。その機能は、細胞のエネルギー状態に応じて、ヒストンなどの基質蛋白質を脱アセチル化することにより、細胞増殖やエネルギー代謝、ストレス応答、炎症など、多くの生体反応の制御に関与し、NAFLDの病態にも影響することが示されています。STRT1は、カロリー制限などによってその発現が増加し、PGC1α(peroxisome proliferators-activated receptor-γ coactivator 1α)の活性化などを介して、糖新生・脂肪酸酸化・ミトコンドリアのバイオジェネシスなどを促進します。ほかのSIRTのNAFLDの病態に関与することが次々に報告されており、治療への応用も期待されています。
細胞老化は、不可逆的な細胞増殖停止状態で、もともとヒト細胞培養における竿棒分裂回数の限界として発見されました。のちに分裂寿命に至っていない細胞においても、酸化ストレスや癌遺伝子の活性化などのよる強いDNAダメージが生じた場合には、細胞老化が誘導されることが判明しました。そして。細胞老化を起こした細胞は長期間存在し、炎症性サイトカイン・ケモカイン・細胞外マトリックス分解酵素など、炎症や発癌を促進する作用を持つ、さまざまな因子を分泌するSASP(senescence associated secretory phenotype)という現象を起こすことが明らかになってきました。
肥満マウスにおいて。汎化した腸内細菌叢にてデオキシコール酸(DCA)が産生され、腸肝循環で肝に運ばれたDCAによるDNAダメージを受けた肝星細胞が細胞老化を起こし、それに伴うSASPにより肝細胞癌発癌を促進することが報告されています。また、ヒトNAFLDでは幹細胞の細胞老化を起こしており、細胞老化が線維化や糖尿病。予後と関連することも報告されています。
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