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加齢腎に対するRAS阻害薬の有用性

レニン・アンギオテンシン系(RAS)阻害薬は、その臓器保護作用を期待して腎炎治療に用いられていますが、抗加齢効果も期待できる薬剤とも考えられます。RASは水・電解質・循環血液量および血圧の調節を行っています

加齢腎に対するRAS阻害薬の有用性

レニン・アンギオテンシン系(RAS)阻害薬は、その臓器保護作用を期待して腎炎治療に用いられていますが、抗加齢効果も期待できる薬剤とも考えられます。RASは水・電解質・循環血液量および血圧の調節を行っています。レニンは主に腎臓の傍糸球体装置から産生されます。RASの主な作用は、アンギオテンシンIIによる血管収縮および血圧の維持や、アルドステロンを介したナトリウム排泄抑制、カリウム排泄増加などの電解質代謝です。加齢に伴って通常RASの作用は減弱し、ナトリウム保持能は低下します。

しかし動物モデルにおいてアンギオテンシン変換酵素阻害薬またはアンギオテンシン受容体拮抗薬が、老化による臓器障害を改善するとの報告があり、腎の老化に伴う病理学的変化である間質の線維化や、尿細管尾萎縮、メサンギウム基質の増大などの所見を改善することもわかってきています。その効果は血圧非依存性であることも示されています。これはおそらく、糸球体内圧の軽減、腎間質炎症細胞浸潤の抑制、間質血流の改善など、腎臓局所でのRASを阻害することにより効果を発揮していると考えられます。
RAS阻害薬の腎機能保護については、臨床研究においても糖尿病性腎症を中心に、RAS阻害薬の有用性を証明する数多くの報告が蓄積されています。加齢腎においても病態生理ガキ的にインスリン抵抗性、食塩感受性、交感神経活性化、RAS活性化など、糖尿病性腎症と共通した状態が認められ、RASそぎ薬が保護的に働くと十分考えられます。しかし、高齢者の場合、加齢に伴って体内水分量、腎血流量の低下を認めるため、糸球体内圧が急激に低下した場合、GFRの低下をきたし、腎不全となる場合があります。腎機能の推移を観察しながら投与する必要があります。

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