') ?>
近年の老化研究では、慢性炎症が老化や生活習慣病の進行に深く関係していることが明らかになっています。炎症老化(inflammaging)という概念が提唱され、加齢を炎症として捉えています。そのため、骨粗しょう症、関節炎、心臓病、高血圧、癌、アルツハイマー病、白内障、2型糖尿病などの加齢とともに頻度の増す加齢性疾患も炎症疾患と再認識され、改めて研究が始められています。CKDも炎症と関連することが示されています。
CKD患者では、炎症および血管内皮機能障害と、特に関連の強いバイオマーカーの血清レベルが有意に上昇していることが明らかにされ、一酸化窒素の代謝産物、エンドセリン-1、E-セレクチン、細胞間接着分子-1、血管細胞接着分子-1、インターロイキン-6、腫瘍壊死因子-αの血清レベルが有意に高いことが示されています。
腎不全病態は、濾過障害による老廃物の蓄積のみならず、生体機能の維持に重要な内因性物質の欠損によって形成され、老化の形質を促進させていると考えられます。その一つにKlotho蛋白の減少が挙げられ、その分泌障害によって「腎性老化」と呼ぶべき病態を呈している可能性があります。
Klothoは分子量130kDの1回膜貫通蛋白で、細胞外ドメインと細胞内ドメインを有し、細胞外ドメインは分泌型蛋白としても働きます。このklotho遺伝子を欠損したマウスは、寿命が8〜10週と短命で、Monckerberg型動脈硬化、異所性石灰化、骨粗しょう症、成長障害、皮膚萎縮、性腺機能障害などを呈し、老化モデルとして認識されています。
klotho遺伝子は主として遠位尿細管で発現しており、腎障害進展に伴いその発現減少も報告されています。Klotho欠損マウスの表現形質は末期腎不全の病態とも一部重複しています。すなわち、末期腎不全患者では、腎障害の進展とともにKlotho発現が低下し、腎性老化とも呼ぶべき病態を呈している可能性があります。まだ研究レベルですが、Klothoを酵素免疫測定法(ELISA)で測定できるようになり、Klotho蛋白の特性を考えると、腎老化のマーカーとなる可能性があります。
▽炎症性老化と腎性老化 のキーワード
▽次の記事、前の記事
サイトについて
このサイトは「健康診断・血液検査MAP」の新規記事を掲載しています。 過去の記事はこちらから閲覧できます。当サイトのRSS
新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP2