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腎臓の老化 加齢による腎病理学的所見の変化

老化によってネフロン(腎小体と尿細管)数の減少や機能低下が生じると、腎臓のもつ予備能は徐々に低下していきます。

腎臓の老化 加齢による腎病理学的所見の変化

腎臓は体内で生じた代謝産物の排泄を行うとともに、細胞外液の恒常性を維持する臓器です。しかし、老化によってネフロン(腎小体と尿細管)数の減少や機能低下が生じると、腎臓のもつ予備能は徐々に低下していきます。高齢者では、水・電解質異常をきたしやすい。これは腎臓の予備能が低下し、環境変化に対する適応力が低下した結果です。加齢によって腎重量は40歳代前半をピークにして減少していきます。腎委縮は皮質だ有意に起こり、髄質は比較的保たれます。腎実質の萎縮は、腎内における細小動脈の硬化・閉塞がその主たる原因と考えられており、特に皮質の表層で著明です。

組織学的には、加齢によって糸球体は力学的ストレス負荷の蓄積により構造変化が生じ、硬化糸球体へと変化します。この硬化性糸球体の割合は、年齢とともに増加する傾向にあります。加齢の腎血管系への影響としては、最初に腎内細小動脈に加齢変化が生じます。高血圧症・糖尿病の合併がなくても、40歳代以降は、腎内葉間動脈・弓状動脈・小葉間動脈に中膜平滑筋や弾性繊維が増加します。時には内腔の肥厚も認められ、内腔の狭小化や閉塞が進行します。高血圧や糖尿病などの基礎疾患が存在する場合には、この加齢変化によって高度に進展します。尿細管は加齢によって細胞数が減少し、ネフロン長の短縮がおこります。
これらの組織学的変化は個人差が大きく、加齢変化と病的変化の区別が容易ではなく、加齢腎に特有の肉眼的・顕微鏡的特徴もありません。また、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の病的組織変化と類似した所見が認められ、腎老化はCKDと共通した進行過程が存在することが示唆されます。

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