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臓器や器官を構成する独立した最小単位は細胞です。1つの細胞は、ホルモンなどの液性因子や細胞同士の接着による直接的な情報交換によった他の細胞と常に協調しています。1つの細胞の破綻は、他の細胞の破綻おも招くことがあり、ひいては個体の生存にも影響を与えます。そのため、細胞破綻のメカニズム、つまり細胞老化のメカニズムを解明すれば、個体老化のメカニズムにもつながると考えられていました。
ヒトの正常な皮膚線維芽細胞は、一定の回数(50回ほど9だけ分裂すると、それ以上は分裂しなくなります。この現象は、1961年にHayflick博士により発見され、細胞には寿命があり、老化することが示されました。これが発端となり「細胞の老化=個体の老化」と考えられ細胞老化の研究が盛んに行われました。1990年にこの細胞老化は、テロメアの短縮によるものであることがわかりました。
脊椎動物のテロメアは、TTAGGG(T:チミン、A:アデニン、G:グアニン)という6つの塩基からなる特徴的な繰り返し配列からなり、さまざまな蛋白質と相互作用してDNAの損傷や末端同士の融合を防ぎ、染色体の安定に寄与しています。ヒトのテロメアは、出産時には10〜15kbの長さであり、正常なヒトの培養細胞では細胞分裂ごとにテロメアの長さが短縮され、およそ6kbまで短縮すると細胞分裂が停止します。
しかし、体細胞は、神経細胞や筋肉細胞のようにその多くの細胞が発生・成長の初期に分裂を終了して、そのあと一生の間分裂しない非分裂細胞であることから、脳や筋肉の老化は、テロメアの短縮では説明できないため、個体老化の全てがテロメアの短縮や細胞老化によるものではないと考えられています。現在では、細胞老化と個体老化は別の現象として区別されています。
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