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近年、加齢に伴う心血管系の病理学的変化に関連する物質として、蛋白糖化最終産物(advanced glycation endproducts:AGEs)が注目されています。蛋白質と還元糖が混在すると、蛋白質のアミノ基と還元糖のカルボニル基が非酵素的に反応してアマドリ化合物を形成します。この化合物から酸化、脱水、縮合などの複雑な反応を経て、多種類のAGEsが形成されます。生体内では、さまざまな構造のAGEsが産生されており、特に加齢や血糖値の高い糖尿病患者では、その産生量がおおくなって組織に沈着し、心血管系合併症、腎症などの発症に深く関連していることが明らかになっています。
AGEsのなかには、細胞膜表面の特異的な受容体(receptor for AGEs:RAGE)と結合してさまざまな細胞や組織に対して生物活性を発揮することが知られています。AGEsは血管内皮細胞膜表面に発現する受容体RAGEへの結合を介して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(reduced nicotinamide adenine dinucleotide phosphate:NADPH)オキシダーゼを活性化させることによって、細胞内の酸化ストレスを増大させます。細胞内酸化ストレスの増大は、核内転写因子NF-κBの活性化を介して、さまざまな炎症性サイトカインおよび接着因子(ICAM-1)、血管細胞接着分子(VCAM-1)などの発現亢進を誘導し、炎症細胞の遊走と泡沫化の機序を介して動脈硬化病変の発症にかかわると考えられています。
生体内に存在して血中濃度の測定が可能なAGEsとして、ピラリン、ペントシジン、カルボキシルメチルリジン(CML)などが知られています。これらの血中濃度と心血管イベントとの関連性について複数の報告があります。
イタリアでの一般住民を対象としたコホート研究では、CMLの血中レベルが、既存の危険因子とは独立して、遠隔期の全死亡および冠動脈疾患死と関連するバイオマーカーになることが示されています。同様に、ボルチモア居住の65歳以上の女性を対象とした成績では、監察開始時における血中CMLレベルが、平均4.5年の観察機関における心血管死の発症に関連したと報告しています。
一方、血清ペントシジンおよび可溶性RAGEの上昇は、心不全患者における予後規定因子であることが明らかになっています。このように、AGEsの血中濃度の測定における、老化に関連する心血管病のバイオマーカーとしての有用性が示されつつあります。
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