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ANA検査に関する推奨の1〜13は膠原病を診断するANAスクリーニング検査についての内容です。まず注目すべき点は、数あるANA検査法の中で、ヒト喉頭由来のHEp-2(ああるいはそのvariantであるHEp-2000)細胞を使用したIF法をANA検査の標準的な方法と定めたことです(推奨5)。これは、IF法は他法に比較して歴史が長く多くのデータの蓄積があること、そして、全身性エリテマトーデス(SLE)や全身性強皮症における感度が高いことが理由とされています。米国リウマチ学会の声明に続いてこの「推奨」が発表されたことによって、IF法はANA検査のゴールデンスタンダードとしての地位を確立したといっても過言ではありません。
その一方で、IF法は操作が煩雑であるため、多くの検体を処理する必要のある検査室では自動化された代替法の利用も認めるとも追記されています(推奨5)。ただし、既知の核成分を抗原として使用するような代替法はANA検査とは呼ばないとされています(推奨7)。
さらに、IF法は判定を目視で行うため客観性に乏しく、手技に習熟を要するといった欠点もあるため、検査手技や結果の解釈にかかわる検査技師のトレーニングプログラムの必要性も強調されています。このような欠点を補うために、わが国でもANA検査にコンピューター支援型システムや全自動分析装置を導入する試みが始まっています。
IF法のカットオフ値は、わが国でも1:40希釈に設定されていますが、このカットオフ値では健常人での陽性率が非常に高いことは以前からよく知られています。人種・年齢といった背景などによっても異なりますが、1:40をカットオフ値とすると、20〜30%もの健常人が陽性になるという報告が多く、特異度の低さが問題となっています。一方で、カットオフ値を上げすぎると感度が下がるためカットオフ値の設定については長年議論の的でした。今回、成人の全身性自己免疫疾患のスクリーニング検査の場合には、1:160希釈以上を陽性とすることが推奨されました(推奨10)。しかし16歳未満の小児のANAカットオフ値については意見がまとまりませんでした。
以前から、抗SS-A抗体や抗Jo-1抗体はIF法では見逃される可能性があるため、抽出抗原などを使用したANA検査(ELISA法など)のほうが検出率がよいという意見もあり、IF法の検査時には、核の染色型に加えて細胞質型および分裂装置型を記載することの重要性が明記されました(推奨13)。
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